赤ちゃんはとっても汗っかきで、新陳代謝が盛んである。なので毎日ちゃんとお風呂に入れて、きれいに洗ってあげなくてはならない。
しかしそこはそれ、まだ一人では何もできない新生児なので、親が洗ってあげる必要がある。しかも「首がすわっていない」、つまり首を固定することすらできない状態なので、常に首を支えながら、ちっちゃいプールのようなベビーバスで、チャプチャプと洗ってあげなくてはならないのだった。
生まれてから30分後には大地を走りまわるサバンナの動物たちと比べて、人間の赤ちゃんのなんと頼りないことか。これは全力で保護しなければならない。
さてそんなわけで、お湯に入れる際には、耳に水が入らないように、首の後ろから支える手の親指と中指で赤ちゃんの耳を「ギョウザ」のようにして閉じなくてはいけないのだが、これがなかなか難しい。
沐浴させよう
沐浴のたびに暴れて泣き叫ぶ赤ちゃんもいるそうだが、幸い我が子ヒロシはお風呂好きのようで、「ほぉ~っ」という顔をしながらおとなしくチャプチャプ洗われてくれた。
お腹を洗う時だけはくすぐったいようで、金魚のようにお腹を左右によじって体に力がはいるのが面白い。
ところが、さあ、洗いあがったぞ、とお湯から引き上げて、かけ湯で洗い流そうとすると、泣き出す。さっきまでちょっとウトウトするくらいリラックスしていたのに…。
「あ…。あぁーッ! んあーーー! ああぁーーッッ!」
体中に力が入って、みるみる全身が真っ赤に紅潮していく! なんなんこれ!
慌てて体を洗い流し、バスタオルにくるむと大人しくなっていて、その状態で妻に渡すと
「あらー、泣かなくていい子ちゃんだったねー♪」
とのんきなコメントが帰ってくる。さっきまで大変だったんだぜ、それ…。
しかしもっと大変なのは、ここからバトンタッチした妻の仕事だと思う。お風呂で泣こうが泣くまいが、このあとどうせ泣く。
そう、風呂あがりには、「へその消毒」という一大仕事が待っているのだ。
おへその消毒
新生児のへそは、ちょっとギョッとするような構造になっている。
なんかボコっとしたものが付いてる!
そう言えば赤ちゃんのへそなんて見たことなかったけど、なんとなく腹の付近でへその緒を切って縫ったりして、生まれてすぐ大人と同じような「おへそ」になってるのかと思ってた…。「でべそ」は出産時の切り方がヘタだからなるのかと…。
断面図で見ると、こういうふうになってるんですな!
あと、エヴァでお馴染み「アンビリカル・ケーブル」ってへその緒(アンビリカル・コード)が語源なんですな!
で、これが自然にポロッとかさぶたのように取れるまで、毎日綿棒にアルコールを付けて消毒しなければいけないんだけど、このときは激しく泣いているし、泣くと腹圧が高まっておへそがぐぐっと突起するしで、非常に神経を使う怖い作業なのである。
2~3週間で自然脱落するらしいが…。
こうしてひと通りの作業が終わって服を着ると、心なしかさっぱりした表情に見える。お風呂上りの一パイを飲んで、3時間後までオヤスミナサイ、だ。
ちなみに沐浴って、「斎戒沐浴」とかいうふうに宗教的に体を清めることに使ったりする言葉だと思ってたんだけど、どうやら育児業界では、赤ちゃんの体を洗ってあげる事を「沐浴」というようだ。どうしてそうなのかは不明。