1日目 夜明け前(前)(0歳)


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とうとう子供が生まれる。
予定日を過ぎて数日たったある日のことだった。
早朝5時頃に妻から「破水したみたいなんだけど…」と起こされた。
「来たか!」
普段寝起きの悪い俺が、0.5秒で飛び起きた。
長い一日の始まりである。

ふるえる指で、あらかじめ話を付けておいたタクシー会社に電話するも、
「破水しているなら救急車の方がいいのでは?」
と言われ、産院に確認。するとこっちでは
「救急車で来ちゃダメです」
と言われ、結局タクシーを呼ぶ。どっちだよ。
結局10分ほどでタクシーは到着した。「禁煙」の札を掲げつつ、車内はたばこ臭いという残念なタクシーだったが、運転手は気のいい人で「頑張ってね!」と励ましてくれた。

初産だし、陣痛から出産までは結構時間がかかると言われていたので、俺だけ8時頃にいったんバスで帰宅。今月中にしなければいけない事務処理があり、会社と連絡をとってあれこれしていると、息も絶え絶えになった妻から緊急電話。
「旦那さんどこ行ったのって言われてる…もう…すごく痛い…!」
えーっ。押っ取り刀で産院にリターン。

うろちょろする俺

この画像は育児ブログ『にっき親』メンバー限定です

母親と胎児の心音モニター。たまに見失うと警報がなるので焦る。

出産準備部屋にはいると、助産婦さんにあられもない姿にさせられて痛みに耐えている妻の姿が。助産婦さんにいったん追い出される。
あれだね、出産時ってのは、本当に男の居場所もやることもないね。ゼロだね。やることないのにその場にいなくてはならない、まるで借りてきたハムスターのようになってそのへんをうろちょろする俺。

しばらくして、部屋をノックしてから細くドアを開け、
「あのー、何かすることありませんか…?」
と聞いてみると、助産婦さんは俺の顔を2~3秒にらんでから
「じゃあ、旦那さんにマッサージ代わってもらいましょうか」との返事。

やった!これでともかくはやることができた!
出産後、俺も少しは頑張ったよ、一緒に大変だったね、という顔をできる。今後、夫婦げんかのたびに「あなたはあの時何もしてくれなかった」とか言われるパターンも回避できるぞ。

まだですか!

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病室の時計はなぜかハクション大魔王。呼ばれて飛び出て、ということか…?

その後、中世の拷問器具のような椅子に乗せられた妻の背中を、毛布越しに押し続ける。まだ子宮口が開ききっていないため、今はまだいきまずにひたすら痛みに耐えていなければいけないとのこと。
テニスボールやゴルフボールなども用意していたが、もはやそんな段階ではなく、あれよあれよという間に昼12時を過ぎる。

痛みに耐えかねた妻が
「あとどれくらいガマンすればいいんですか!」
と聞くと、助産婦さんからは
「あと2時間くらいかな」
との答え。
「無理です!死んじゃう!死なないけど!痛い~痛い~!」
と泣き叫ぶ妻の腰をひたすら揉み、押し続ける俺。

ここまで苦しんでいる妻の姿は初めて見る、というくらいの苦しみようで、しかしそれを助けてやることも治してやることもできず、言葉もない。妻よ、がんばれ…!
(一度、「がんばれ」と言ったら「もうがんばってるよ!これ以上何をがんばればいいの!」と怒られたので言いづらい。しかし他に言うべき言葉がない)

助産婦が(おそらく食事休憩で)いないときに、様子を見に来た看護婦さんに
「1時間前に計って7cmくらいだったときから、もうそろそろ開いてるんじゃないですか?」と測ってもらった。
「9cmかー。じゃあ、もういっちゃいましょうか!」ということで、とうとう分娩室へ。
(この時の質問は、俺の最大のGJであった、と後にほめられた。)

我が家は立ち会いを全く希望していないので、俺の仕事はこれまで。「がんばってな」と小さく声をかけて送り出す。

俺、誕生

妻を分娩室に送り出してまた場違いな人に逆戻りした俺は、長期戦に備えて近くのすき屋へ。チーズ牛丼を頼んでから、ふと「牛丼を食べている間に生まれてしまったら…」と不安に駆られ、半ば飲み込むように牛丼を平らげ、走って病院へ戻る。病院を出てから戻るまで、この間、12分。

さすがにまだ生まれていないようだった。やれやれ、と分娩室の前のベンチに腰を下ろす。
産婦人科なので、赤子を抱えた若い母親が検査を受けに何人かやってきていた。赤子は、小さい。これがいずれ僕の腕の中にも抱かれることになる…。なんだか不思議な感じがした。
母親は、妊娠期間中にどんどん親としての自覚が芽生えていくという。それはある種自然に身につくものなのではないだろうか。しかし男の場合、最初は意識的に身につけなければならない。
「俺、場違いじゃないもんね」「今から生まれる我が子を待ってるんだもんね」というふうな顔を作り、腕組みをして廊下を行ったりきたりしてみる。そういえば、とそれぞれの親にもうすぐ産まれそうである旨を連絡していると、戦場に産声が響き渡った。

あ゛ーー、んあーー、んああぁーー!

戦が、止んだ。

(続く)

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1日目 夜明け前(前)” への2件のコメント

  1. ブログ拝見させていただきました!
    どれも素晴らしい日記ばかりで、一気に全記事読んでしまいました(笑)
    深夜の破水とか、昼飯急いで食べたりとか、私の時と重なる部分も多くて、懐かしいなぁなんて思い出しながら楽しく読ませて頂きました。

    あと、鬼怒川さんの文章はネタとかツッコミとかあってとても面白くて好きです☆また更新されたら真っ先に読みにきますね!

    • いらっしゃいませ!
      そこまで言っていただけると照れますが嬉しいです。どうぞIwamotoさんもツッコみながら読んでやってください。笑
      これからもイクメン同士、育児ブログ同志で、よろしくおねがいします!
      あとは、こっちの嫁ッコにどうやってブログを始めさせるか、ですな…笑

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